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気候変動対策における AI の役割

2021/12/22
執筆者:
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1997 年12月、京都で開催された COP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)を契機として、環境省が1998年から12月を地球温暖化防止月間と定めているのをご存知でしょうか。

昨今、SDGs に対する注目度は高まり続け、全国でもさまざまな自治体や団体、企業が地球温暖化防止に関する取り組みを進めています。しかしながら、国連が発表した SDGs 報告2021においても未だ気候危機は継続中であり、温室効果ガスの排出量も増加していていることから、カーボン・ニュートラルへシフトするなど気候変動とその影響に立ち向かうための緊急対策を取るべきだとまとめられています。

AI Cloud のリーディングカンパニーである DataRobot も、AI の力で SDGs に貢献すべく AI for Good などの取り組みを進めています。AI はどのように SDGs、気候変動に貢献できるのでしょうか。気候変動対策における AI の役割として、その可能性をご紹介します。

(このブログポストは The Role of AI in Combating Climate Change の和訳です)

気候変動は、現在および未来の世代にとって世界的な問題となっています。地球の資源には限界がありますが、母なる自然は地球に住む全ての生物を養うためにその限界を超えて資源を提供し続けなければなりません。しかし、それには高い代償が伴いかねません。テクノロジー、医療、産業はめざましい進歩を遂げており、これらの分野への投資を活用することで、環境への影響を軽減することができます。DataRobot のエンジニアとデータサイエンティストは、カーボンフットプリントの削減やエネルギー排出の無駄が発生する可能性の検知、異常気象などを予測することで、必要なエネルギーを常に確保できるよう、AI と 機械学習 の力をどのように活用するべきかを考えています。

カーボンフットプリント – エネルギーの調達

エネルギー投機は 1 兆ドル規模に達しています。化石燃料の調達、陸上・海洋掘削、太陽光発電所や風力発電所の建設計画など、プロジェクトの始動に必要な資本投資は途方もない額になります。このように高額な投資コストが伴う場合、投資に見合った最大限の効果を得られるように予測することが非常に重要です。石油・ガス分野では、土壌サンプリング、ドリル温度、振動レベルに基づく予測モデリングを活用することで、掘削装置の決定、保守作業、抽出に関するインサイトを得ることができます。支出のほぼ 50 パーセントを占めるのが、リグの掘削流体とポンプのコストです。掘削装置の純収量を増やし、総資本と運用コストを削減するための意思決定プロセスに AI モデルを​活用​(英語)すれば、効率を改善することができます。

太陽光発電所の建設においては、時間経過に伴う太陽電池の性能低下を AI でモデル化することで、太陽光エネルギー活用の効率性を維持するためのセルの保守や交換タイミングを予見できます。風力発電所では、発電所の耐用期間中に発電タービンの性能を保持する予知保全が役立ちます。現在の部品および保守にかかるコストは総所有コストのおよそ​ ​20 パーセント​(英語)であり、標準保証期間はわずか 2 年です。一方、AI による予知保全を活用すれば、控えめに見積もっても​ 10 パーセント​(英語)のコスト削減につながることが実証されています。つまり、現状の再生可能エネルギー発電よりはるかに大きな価値を生み出し、そのコストを削減できるのです。​

計画外の排出

メタンやその他の天然ガスの排出は環境破壊の原因となるだけでなく、エネルギー輸送コストの増大にもつながります。こうしたコストは、企業および一般消費者への価格に上乗せされ、最終的にはお客様の負担となります。パイプラインのセンサーデータ、過去の排出データ、上空から撮影した施設画像などを利用すれば、全米のパイプラインや機器からの排出を AI アルゴリズムで正確に予測できるだけでなく、大きなコストとなる不必要な物理的検査を実施する必要がなくなります。エネルギープロバイダーは、この AI ドリブンの予測的アプローチによって、環境への潜在的なダメージ、汚染に対する罰金、輸送コスト全体を削減することができるのです。

送電網の耐障害性

現在、環境保全技術への投資が、世界の発電および電力消費の在り方を変革しています。家庭用の屋上ソーラーパネルが送電網全体のエネルギー増大に貢献しています。農地に風力タービンを設置する農家の増加によって、自家電源で車や電子機器を充電することが一般化しつつあるなど、消費者の電力利用も大きく変化しているのです。単一の送配電系統上に配置された石炭火力発電所やレシプロガスエンジンで集中的に発電する従来の方式から大きく脱却するには、環境保護、送電網の安全と耐障害性、電力需要の増大などの理由から、送電網管理の最新化に注力する必要があります。21 世紀のアメリカのエネルギーグリッドを最新化して、電力需要を正確に予測し、発電効率を高め、化石燃料の調達負荷を軽減し、動力不足の回路による電力供給のひずみを低減していくためには、AI が不可欠なのです。

まとめ

世界的に気候変動対策の必要性が叫ばれる中、送電網に対する新たな需要が高まっており、発電および配電を管理する新しい手法が求められています。AI 予測とディシジョンインテリジェンスを活用すれば、ゼロカーボンのエネルギーソリューションへのシフトと合わせて、化石燃料への依存度を減らすことができます。AI は、ネットワークの耐障害性を予測できるので従来型の送電網管理にも有効であり、各国が経済的に前進し続けるための基盤となるのです。

メンバー募集

DataRobot では AI の民主化をさらに加速させ、金融、ヘルスケア、流通、製造業など様々な分野のお客様の課題解決貢献を志すメンバーを募集しています。AI サクセスマネージャ、データサイエンティスト、AI エンジニアからマーケティング、営業まで多くのポジションを募集していますので、興味を持たれた方はご連絡ください。

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執筆者について
Sean Plankey(ショーン・プランキー)
Sean Plankey(ショーン・プランキー)

Director of Cyber Missions

DataRobot のサイバーミッション担当ディレクターです。サイバーセキュリティ分野の専門家であり、以前は米国エネルギー省のサイバーセキュリティ担当上級エグゼクティブおよびホワイトハウスの国家安全保障会議メンバーとして活動していました。

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