予測AIの基盤が、エージェント型AIの価値実現への最短ルートになる

これまでの予測AIへの投資が、今すぐエージェント型AIの価値につながるとしたらどうでしょうか。DataRobotのCPOを務めるVenky Veeraraghavanと、Dell TechnologiesのSenior Director of AI Solutionsを務めるBrad Maltzは、それは可能だと述べています。そして、今こそその価値を追求すべき時だとしています。

本番稼働中のモデル、整備されたデータパイプライン、最適化エンジン、ガバナンス統制は、AIエージェントが迅速な意思決定と測定可能な成果を生み出すために必要な、事実に基づくビジネス上の文脈を与えます。オーケストレーションと推論を担う層は、これらの機能をチーム、システム、データサイロを越えてつなぎ、予測を協調的な行動へと変えます。

DataRobotとDell Technologiesが最近共催したウェビナーで、VeeraraghavanとMaltzは、企業が既に持つAI活用基盤の上に構築し、予測から得た知見を迅速にエージェント型AIの成果へつなげる方法を説明しています。

エージェント型AIは、企業が既に持つインテリジェンスを動かす

エージェント型AIのデモは、まるで魔法のような技術に見えることがあります。チャット画面がどんな要望も理解し、業務フロー全体を進めて答えを出しているように見えるためです。しかし企業の現場における機会は、もっと実務的で、見た目より近い距離にあります。

予測AIは、既に難易度の高い分析業務を担っています。モデルは、ビジネス成果を生み出す一連の業務フローの中で、予測やスコア、推奨を生成します。人はその出力を解釈し、ダッシュボードを確認し、トレードオフを検討し、シナリオを検証し、チーム間で調整しながら次の対応を決めています。Veeraraghavanは、この解釈と調整を担う層を「ヒューマン・ミドルウェア」と呼んでいます。

Veeraraghavanによれば、こうした業務フローの中心にあるデータとモデルが、エージェント型AIの基盤となります。AIエージェントは、そのインテリジェンスを、成果を生み出すために必要な推論・調整・意思決定へとつなげます。AIエージェントは、予測を取り巻く作業を加速させます。意図を解釈し、目標をより小さな課題に分解し、適切なデータや分析ツールを呼び出し、結果を統合したうえで、成果の責任者に推奨事項や例外事項を提示します。

言語モデルは、柔軟な推論とオーケストレーションの機能を担います。一方、企業データや予測モデル、数理モデル、業務ルール、最適化システムは、事実に基づいた、多くの場合決定論的な答えを導きます。両者をエージェント型の業務フローの中で組み合わせることで、ビジネス上の問いから対応までをつなぐ柔軟な道筋が生まれます。

既存のAIへの投資には、既に価値あるインテリジェンスが蓄積されています。AIエージェントによるオーケストレーションは、そのインテリジェンスを、ビジネス成果を生み出す意思決定や行動全体へと広げます。

エージェント型AIの3つの種類——投資対効果(ROI)が最も明確な1つ

エージェント型AIは3つの階層で価値を生み出しますが、それぞれ影響の大きさ、成果の測定しやすさ、戦略上の広がりが異なります。

1.生産性向上エージェントとコパイロット

これらのツールは、資料作成や情報分析、メール作成といった日常業務を個人がより速く終えられるように支援します。生産性の向上自体は確かですが、その財務的な効果は数値化しづらい場合があります。メール作成にかかる数分の短縮は、売上や利益、リスク低減へとそのままつながるわけではありません。

2.業務エージェント

これらのAIエージェントは、Salesforce、SAP、ServiceNow、Workdayといった基幹システム上の既存の業務フローを加速させます。経費精算の処理やサービスチケットの解決など、定型的な業務をより効率的に進められます。効果は測定しやすいものの、通常は1つのアプリケーションや業務プロセス、機能の範囲内に留まります。

3.エージェントワークフォース

エージェントワークフォース(AIの「働き手」群)は、経営に重要な影響を与える業務フローの中心にAIエージェントを据える構成です。定めた成果を軸に、データ、予測モデル、最適化エンジン、アプリケーション、人の専門知識を連携させます。その効果は、売上や利益、業務効率、リスクなど、経営層が既に追っている指標で測定できます。

Veeraraghavanは、この3つめの階層を、企業のAI投資に対して成果の証明を求める声が高まっている状況と結び付けています。既存の予測AIへの投資が積み重なって効果を発揮できるのは、まさにこの領域だとしています。

企業データやセンサー、モデル、最適化ロジックなど、分析の基盤の多くは既に整っている場合があります。AIエージェントによるオーケストレーションは、これらの資産を業務フロー全体でつなぎ、インテリジェンスから意思決定、測定可能なビジネス成果までの道筋を短縮します。

エージェント型AIは、既に業務の成果を変えている

Chevronは、工業施設で異常が発生した際に人の安全を守るという、影響の大きい課題にエージェント型AIを活用しています。

IoTセンサーが異常を検知します。モデルは、現地の気象条件のもとでガスの拡散がどう進むかを予測します。最適化エンジンは、危険な区域を避けるように作業を振り分けます。エージェント型のアプリケーションがこれらの機能を統合し、オペレーターがシナリオを評価し、ほぼリアルタイムで対応を調整できるようにしています。

対応の速さが重要です。電動・機械式のドローンは、有害なガスが存在する区域では不具合を起こす可能性があり、一方で人を現場に送り込むことも新たなリスクを生みます。AIエージェントによるオーケストレーションは、ガスがどこへ移動しているか、どの機器が安全に稼働できるか、対応をどう調整すべきかを、オペレーターがより速く判断できるようにします。

あるテクノロジー企業は、同じパターンをサプライチェーンの変動対応に応用しています。四半期ごとの予測や計画のサイクルは、需要の変化や新技術、物流上の制約、顧客の優先順位の変化に追いつけなくなっていました。

この企業は、AIエージェントを使って既存の予測モデル、what-if分析、最適化ツールをオーケストレーションしています。プランナーは、在庫を別の顧客に回した場合にどうなるかを評価し、配送時間と利益率を比較しながら、四半期目標の達成や重要顧客の維持といった競合する優先事項の間で最適化を図れます。これにより、サプライチェーン部門と営業オペレーション部門が、混乱の影響を共同で評価し、より速く対応できるようになります。

いずれの例も、企業データ、センサー、予測モデル、最適化ロジックといった、既に備わっている機能の上に成り立っています。AIエージェントによるオーケストレーションは、これらの資産を即応性のある意思決定の仕組みとしてつなぎ、シグナルの検知から分析、対応までの道筋を速めます。

移行にあたって押さえるべき3つのポイント

予測AIからエージェント型AIへの移行には、どこに投資し、システムをどう設計し、どの機会を追うかについて明確な判断が必要です。以下の3つの原則は、成果が測定できる領域にリソースを集中させながら、変化に対応できる柔軟性を持たせるために役立ちます。

1.トークンではなく価値で考える

コストの戦略は、「何を動かすか」「どこで動かすか」という2つの問いから始めるべきです。

その答えは、クラウド、オンプレミス、デスクサイド、エッジといった基盤の上で、フロンティアモデルとオープンウェイトモデルを組み合わせる形になる場合があります。複雑な推論を伴う処理にはフロンティアモデルが適する一方、単純で繰り返しの多い処理は、より小規模なオープンウェイトモデルの方が効率的に処理できることがあります。データの機密性、レイテンシー、品質、統制のしやすさが、コスト構造を左右します。Maltzは、一部のワークロードでは、オンプレミスやデスクサイドの方式がホスト型環境に対して数か月で投資回収点に達する場合があると指摘しています。

2.モデルの選定ではなく、モデルの戦略を持つ

モデルを取り巻く状況は変化が速く、1つのベンダーやモデルをすべての用途に対する固定的な答えとすることはできません。モデルはポートフォリオとして扱うべきです。各処理のステップごとに重要となる基準——精度、コスト、レイテンシー、データの機密性、稼働環境の要件など——に応じて、リクエストを振り分けます。

このアプローチは、アーキテクチャを常に改善可能な状態に保つことにもつながります。現在AIエージェントが呼び出している予測モデルは、より良い選択肢が現れた際に後から入れ替えることができます。個々の構成要素が進化していく中でも、業務フロー全体は価値を生み続けます。

3.プロセスではなく、成果を選ぶ

価値の高い機会は、複数のチーム、システム、データサイロにまたがっていることが多くあります。サプライチェーンの混乱への対応、本人確認(KYC)審査の完了、工場の安全確保、関税に関する判断の最適化といった成果が挙げられます。

成果を出発点に、逆算して設計します。AIエージェントの判断を支えるデータは何か。呼び出すべきモデル、アプリケーション、業務ルールは何か。AIエージェントが取れる行動は何か。どの段階で専門家が承認し、介入し、例外に対応すべきか。こうした問いを通じて、AIエージェントによるオーケストレーションが意味のあるビジネス上の効果を生み出せる領域が見えてきます。

既にある基盤の上に構築する

エージェント型AIに向けた企業の準備は、本番稼働中のモデル、統制の効いたデータ、業務知識、業務アプリケーション、インフラ、そして長年の運用から得た知見という形で、既に整っている場合が少なくありません。これらの機能を、価値の高い成果を軸につなげることが、現実的な前進の道筋になります。

まずは、信頼できる予測システムから始め、それをAIエージェントが使える道具として提供します。そこに統制、AIオブザーバビリティ、人による監督を加えます。成果はビジネス上の指標で測定し、業務フローが進化する中で個々の構成要素を改善していきます。

DataRobotは、データサイエンスおよび機械学習プラットフォーム分野のGartner®マジック・クアドラント™で3年連続してLeaderの評価を受けており、これはこの基盤の成熟度を裏付けるものです。本番運用に耐えるレベルのエージェント型AIは、実験段階から経営上重要な業務フローへ移行する準備が整っています。

有用な予測モデルと信頼できるデータを持つ企業は、既に必要な基盤を備えている場合があります。AIエージェントによるオーケストレーションは、そうした投資を、協調的な行動と測定可能な価値へと転換します。

企業が予測AIへの投資を土台に、測定可能なビジネス価値を生み出すエージェント型の業務フローへ進む方法を、DataRobotとDell Technologiesによるウェビナーの全編でご覧いただけます。

本ブログは「Your predictive AI foundation is the fastest path to agentic AI value」の抄訳版です。

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