DataRobot 2025年第4四半期のアップデート:エージェント型AIライフサイクル全体で成功を推進するために

2026年以降を見据えるAIチームにとって、最大の課題は「プロトタイプ作成」から「エージェントの実運用(Production)」への移行にあります。魅力的なプロトタイプを作ることは、比較的容易です。LLMを接続し、いくつかのツールを与え、動作しているように見せれば良いからです。

しかし、本番稼働となると話は別です。不安定な連携、ガバナンスの悪夢、そしてエージェント特有の複雑さやニュアンスに対応しきれないインフラなど、多くの壁が立ちはだかります。

AI開発者にとって、課題は単にエージェントを構築することから、本番環境でいかにオーケストレーションし、統制し、スケーリングさせるかへとシフトしています。今回のDataRobotの最新リリースでは、スピードを犠牲にすることなく、きめ細かな制御を可能にする堅牢なツールスイートを提供し、このライフサイクル全体を効率化します。

DataRobotでAIエージェントの本番運用を加速させる新機能

DataRobot 11.2および11.3の新機能は、オブザーバビリティ(可観測性)、開発者体験、インフラストラクチャ連携にわたる数多くのアップデートにより、プロトタイプと本番運用のギャップを解消します。

これらのアップデートは、「AIエージェントの構築」と「本番環境での信頼性の高い運用」の間にある摩擦を減らすという一つの目標に焦点を当てています。

特に影響力の大きいアップデート分野は以下の通りです。

  • MCP on DataRobotによる接続性の標準化
  • Talk to My Docs (TTMDocs) によるセキュアなエージェント型検索
  • CLIツールによるエージェントのビルドとデプロイの効率化
  • Prompt Management Studioによるプロンプトのバージョン管理
  • リソースモニタリングを通じたエンタープライズガバナンスとオブザーバビリティ
  • 拡張されたDataRobot LLM Gatewayによる様々なモデルへのアクセス
  • エンタープライズエージェントのためのエコシステム統合の拡大

これより、本番グレードのエージェントシステムの基盤となる「接続性の標準化」から順に、これらの機能を詳しくご紹介します。

MCP on DataRobot:エージェントの接続性を標準化

ツールが変わればエージェントは機能しなくなります。独自の連携機能は、やがて技術的負債となります。こうした課題を解決する標準としてModel Context Protocol (MCP) が台頭しており、DataRobotはこのMCPを本番環境ですぐに利用できる形で提供します。

今回、DataRobotコミュニティのGitHubにMCPサーバーテンプレートを追加しました。

  • 新機能: DataRobotクラスターへ直接デプロイ可能な、ローカルテストもできるMCPサーバーテンプレート。統合レイヤーを毎回作り直すことなく、エージェントはツール、プロンプト、リソースへ確実にアクセスできるようになります。予測モデルをエージェントが発見可能な「ツール」として簡単に変換することも可能です。
  • 重要性: このMCPテンプレートにより、エンタープライズ向けのガードレールが組み込まれた状態でオープンスタンダードを利用できるようになります。午前中に手元の端末でテストし、午後には本番環境へデプロイするといったスピード感が実現します。
MCP on DataRobot

Talk to My Docs:セキュアなエージェント型ナレッジ検索

現在、誰もがRAGを構築していますが、RBAC(ロールベースアクセス制御)、監査証跡、コードを書き換えずにモデルを交換できる機能を備えたRAGシステムを構築できている例はほとんどありません。

「Talk to My Docs」アプリケーションテンプレートは、あらゆるドキュメントに対して自然言語でのチャット形式による生産性をもたらすと同時に、企業レベルのセキュリティとガバナンスを確保します。

  • 新機能: Google Drive、Box、SharePoint、ローカルファイルに接続可能な、セキュアで管理されたチャットインターフェース。基本的なRAGとは異なり、テーブルやスプレッドシート、複数ドキュメントの統合といった複雑なフォーマットを処理しつつ、エンタープライズグレードのアクセス制御を維持します。
  • 重要性: チームはChatGPTのような生産性を求めており、セキュリティチームは機密文書が確実に保護されているという証拠を求めています。このテンプレートは、その両方を即座に実現するものです。
「Talk to My Docs」アプリケーションテンプレート

Agentic application starter template と CLI:ビルドとデプロイの効率化

エージェントを本番環境に移行するために、何日もかけて足場を組み、サービスを繋ぎ合わせ、些細な変更のたびにコンテナを再ビルドするような作業は避けるべきです。セットアップの手間は実験のスピードを落とし、単純な反復作業を重たいエンジニアリング作業に変えてしまいます。

これに対処するため、DataRobotはコードファーストとローコードの両方のワークフローにおいてセットアップのオーバーヘッドを削減するよう設計された、「Agentic application starter template」とCLIを導入しました。

  • 新機能: 開発者が単一の対話型コマンドを通じてエージェントコンポーネントを設定できる「Agentic application starter template」とCLI。MCPサーバー、FastAPIバックエンド、Reactフロントエンドなどのコンポーネントが標準で含まれています。ローコードアプローチを好むチーム向けには、NVIDIAのNeMo Agent Toolkitとの統合により、エージェントのロジックとツールをすべてYAMLで定義できるようになりました。ランタイムの依存関係も動的に追加できるため、反復のたびにDockerイメージを再ビルドする必要がなくなります。
  • 重要性: セットアップと再ビルドの摩擦を最小限に抑えることで、チームはより速く反復し、エージェントをより確実に本番環境へ移行できるようになります。プラットフォームチームが一貫した本番用デプロイメントパターンを維持する一方で、開発者はインフラではなくエージェントのロジックに集中できるようになるのです。
Agentic application starter template

Prompt Management Studio:プロンプトのためのDevOps

プロンプトが実験段階から本番資産へと移行するにつれ、その場限りの編集はすぐに負債となります。バージョン管理やトレース機能がなければ、チームは結果の再現や安全な改善に苦労することになります。

DataRobotは「Prompt Management Studio」を導入し、プロンプトエンジニアリングにソフトウェア開発のような規律をもたらします。

  • 新機能: プロンプトをバージョン管理された資産として扱う一元化されたレジストリ。プロンプトが開発からデプロイへと進む中で、チームは変更の追跡、実装の比較、安定版への切り戻し(リバート)を行うことができます。
  • 重要性: DevOpsのプラクティスをプロンプトに適用することで、チームは再現性と統制力を手に入れ、隠れたリスクを招くことなくプロトタイプから本番運用へとスムーズに移行できるようになります。

Multi-tenant AI GovernanceとResource Monitoring:大規模な運用の制御

AIエージェントがチームやワークロードをまたいで拡大するにつれ、可視性と制御は必須条件となります。リソース使用状況への明確な洞察と強制力のある制限がなければ、パフォーマンスのボトルネックやコスト超過がすぐに発生してしまいます。

  • 新機能: 強化された「Resource Monitoring(リソースモニタリング)」タブにより、CPUとメモリの使用率が詳細に可視化され、チームはボトルネックを特定し、パフォーマンスとコストのトレードオフを管理できるようになります。並行して、「Multi-tenant AI Governance」がトークンベースのアクセス制御と設定可能なレート制限を導入し、ユーザーやエージェント間での公平なリソース消費を保証します。
  • 重要性: システムが拡大しても、開発者は本番環境でのエージェントワークロードの挙動を明確に把握でき、プラットフォームチームはノイジーネイバー(リソースを過剰消費する隣人)や制御不能なリソース使用を防ぐガードレールを適用できます。
Multi tenant governance and resource monitoring

拡張されたLLM Gateway:認証情報の乱立を防ぐマルチモデルアクセス

チームがエージェントの振る舞いや推論を実験する際、複数の基盤モデルへのアクセスは不可欠です。しかし、プロバイダーごとに個別の認証情報、レート制限、統合を管理することは、すぐに運用上のオーバーヘッドとなります。

  • 新機能: 拡張されたDataRobot LLM Gatewayは、Anthropicに加えてCerebrasやTogether AIのサポートを追加し、Gemma、Mistral、Qwenなどのモデルへ、単一の管理されたインターフェースを通じてアクセスできるようになりました。すべてのモデルはDataRobotが管理する認証情報を使用してアクセスされるため、個々のAPIキーを管理する必要がなくなります。
  • 重要性: チームはセキュリティリスクや運用の複雑さを増やすことなく、複数のモデルプロバイダーにわたってエージェントを評価・デプロイできます。プラットフォームチームは中央集権的な制御を維持しつつ、開発者はワークロードごとに最適なモデルを選択できる柔軟性を手に入れることができます。

新たなエコシステム統合によるサポート

  • JiraおよびConfluenceコネクタ: ナレッジを認識するエンタープライズ対応エージェントを構築するための包括的なエコシステムを提供し、これまで構築していたベクターベースをより強化します。
  • NVIDIA NIM Integration: Llama 4、Nemotron、GPT-OSS、および50以上のGPU最適化モデルを、MLOpsの複雑さなしにデプロイ可能です。初日から本番運用可能な構築済みコンテナを提供します。
  • Milvus Vector Database: 主要なオープンソースVDBとの直接統合に加え、分類やクラスタリングタスクにおいて実際に重要な距離指標(distance metrics)を選択可能です。
  • Azure Repos & Git Integration: Azure ReposやセルフホストのGitプロバイダーを使用したCodespaces開発のためのシームレスなバージョン管理を実現します。手動認証は不要で、コードはチームがすでに使用している場所に集約されます。

DataRobotのエージェント型AIを体験する

すでにDataRobotをご利用のお客様は、既存のSaaS環境内で「GenAI Test Drive」を数秒で立ち上げることができます。新しいアカウントや営業への連絡は不要です。実際のデータを使って、これらの機能を14日間フルアクセスでテストが可能です。

まだお客様でない場合は、14日間の無料トライアルを開始して、プラットフォームの全機能をぜひ体験してください。

詳細については、DataRobotドキュメントのバージョン11.2およびバージョン11.3のリリースノートをご覧ください。

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