株式会社MFSは、同社の不動産投資サービス「INVASE」で、不動産投資における収益性やリスク評価の核となる計算エンジンに、エージェントワークフォースプラットフォームであるDataRobotを採用しています。
不動産価格は「年間賃料 ÷ 利回り」というシンプルな数式で決まる一方、その根拠となるリスクプレミアムを精緻に算出することは、極めて困難とされてきました。 同社の「INVASE」は、リスクとリターンの相関性を解明すべく、伝統的な金融理論をAIで再構築するプロジェクトに着手。その計算エンジンの核として、DataRobotが活用されています。
DataRobotで実現した、少人数体制での高度なAI運用と揺るぎないシステムの信頼性
不動産投資では、投資のリスクを正しく評価することが不可欠です。同社は、不動産価格や賃料を精緻に推定する独自のAIモデル「Condominium Asset Pricing Model(CAPM)」を開発し、MFSが開発したリスク指標「Pスコア」の刷新を図りました。
少人数体制で、高度な金融理論を反映したAIモデルをスピーディーに構築し、それを24時間365日安定稼働させるための運用保守の両立は、通常、大規模なエンジニアチームを必要とする高い壁でした。

株式会社MFS リサーチ&アナリティクス部 部長
神戸 之法 氏
まずDataRobotは膨大なデータの処理と、複雑な特徴量の抽出において決定的な役割を果たしました。
- データ規模の劇的な拡大:
- 従来と比較して25倍以上の学習データ量を活用しました。膨大な件数の不動産掲載データや統計データをDataRobotに投入することで、予測の安定性を確保しました。
- 特徴量の深化:
- 不動産価格に影響を与える要因を徹底的に解析し、従来の4倍以上にのぼる特徴量を採用しました。DataRobotの自動特徴量エンジニアリングと高度なアルゴリズム選択により、人間では捉えきれない複雑な変数間の相関をモデル化できました。
- 「CAPM」モデルによる精密な推定:
- DataRobot上で構築されたこのモデルは、物件ごとの「適正価格」と「適正賃料」を極めて高い精度で算出できるようになりました。そこから逆算されるキャップレートをスコア化することで、全く新しい不動産リスク指標としての「Pスコア」を誕生させました。
またDataRobotのモデルの運用監視機能により、運用工数が劇的に削減されたことで、夜間や休日の対応に追われることなく、心理的にもゆとりを持った運用体制を構築できています。導入以来、システムエラーの発生はほとんどなく、プラットフォームとしての信頼性を実感しています。
不動産投資の民主化に向けたMFSの今後のチャレンジ
MFSは、さらなる顧客体験の革新へ踏み出しています。その象徴が、現在注力している「AIエージェント」の開発です。
2025年後半より、生成AIを活用した「AIアドバイザー」や「AI診断コメント」機能を順次リリース。これまでプロのコンサルタントが担っていた住宅ローン選びや投資判断のナビゲーションを、AIによる即時かつ高度な対話へと昇華させています。
同社の狙いは、客観的な数値評価(CAPM等)とAIエージェントによる柔軟な対話を融合させ、不動産取引を効率的に完結させること。AIが自律的な実行エージェントへと繋がる、金融の民主化の最終形態にチャレンジしています。