B2B CRMで機械学習を活用して成功するには? DataRobotとSalesforce Sales Cloud のダイレクト連携方法の紹介

小売・流通業のAI活用におけるコロナウイルスの影響のブログでも触れた通り、COVID19 の影響による顧客行動の変化に伴い、営業・マーケティング活動は見直しを迫られています。以前は、オンライン上で営業・マーケティング活動を行うことは極めて稀でした。しかし、最近では、Zoom や Webex などのビデオ会議ツールを利用して、営業担当者が見込み顧客と商談を行い、さらには対面の接触無しで契約に到る機会も増えています。このようなデジタルシフト下では、データを活用し、従来の営業・マーケティング活動をデジタル化することが必須となります。そこで、まずセクション①では、新規顧客獲得から顧客維持までの B2B CRM 活用の中で注力すべき4つの機械学習ユースケースを紹介します。

セクション②では、機械学習を用いたリードスコアリングについて詳しく見ていきます。マーケターは、ここ数ヶ月でウェビナー経由でリードの集客を実施することが多くなりましたが、成約率が非常に低いという問題に直面しています。このような成約率の低さには、CRM で利用できるデータが限られていたり、複雑なルールベースのスコアリングを使用していたり、営業チームへの説明が不十分であったりと、複数の理由があります。

しかし、これらの課題は、DataRobot 6.0 リリースにあるエンドツーエンドのソリューションを活用し、機械学習を自動化する事で解決可能です。DataRobot Data Prep (旧Paxata)で、Salesforce Sales Cloud などの B2B CRM システムと簡単に接続し、必要なデータ処理を行います。そして、DataRobot Auto ML を使って、高速かつ高精度のモデルを構築し、営業チームが納得してアクションを起こすために必要な情報を提供することができます。セクション③では 、以上の様な Salesforce Sales Cloud と DataRobot の連携方法を紹介します。

セクション①:B2B CRM で注力すべき機械学習の活用方法は?

過去のブログで、B2B マーケティングでの機械学習を活用したユースケース一覧を紹介しました。 しかし、COVID19の状況下では、優先順位を再検討し、顧客の新たな行動に対応できるようにプロセスを再構築することが重要です。その際に以下の4つは必ず押さえておきたい重要なポイントです。

  1. 顧客の獲得
  2. 既存の顧客の LTV 向上
  3. 顧客の解約防止
  4. 営業のパフォーマンス向上

それでは、以上のポイントに添って、ポスト COVID19 で B2B の CRM のプロセス改善のために優先的に始めるべき4つの機械学習の活用方法を紹介しましょう。

  1. リードスコアリング:顧客の行動は、対面でのミーティングやイベントからオンラインのウェビナーに移行しています。この新たな行動を捉えるため、ウェビナーデータなどの新しいデータソースを使用し、既存のスコアリングロジックを更新する必要があります。
  2. ネクストベストアクション:従来、過去のマーケティングキャンペーンや顧客の購買履歴データを利用して、顧客に適切なオファーや商品を推奨していました。しかし、顧客のニーズや行動が変化しているため、最新のデータを分析し、既存のネクストベストアクションロジックを大幅に更新する必要があります。
  3. 顧客の解約を防止:既存顧客の中には、COVID19 の危機によって経済的に打撃を受けた企業もあります。そのため、最新のデータに基づいてこれらの変化を取り入れ、解約確率の高い顧客を早期に特定することが重要です。そして、それらの顧客と早期に交渉し、必要に応じて値引き対策などを講じなければなりません。
  4. 営業チームのパフォーマンス分析:顧客の解約防止のために優先順位付けをし、優先度の高いアカウントにスキルの高い営業担当者をアサインすべきです。

しかし、このような既存プロセスの改良には、一朝一夕にはいかない多数の課題が存在します。それでは今から、リードスコアリングの例を用いて、具体的な課題と DataRobot を使った解決方法を説明します。

セクション②:リードスコアリングのユースケースで発生する課題を解決するには?

COVID19 の影響で、B2B 企業の営業・マーケティング部門は、リード獲得チャネルの変更を余儀なくされました。また、リアルで行われるセミナーを避け、より気軽なウェビナーに参加する人が増えました。その結果、以前よりも集客人数は増えた一方で、見込み顧客のエンゲージメントは下がっています。

しかし、この早い変化に合わせてマーケターがスコアリングルールを更新できず、変化に未対応の既存のスコアリングルールを運用しているケースがよく見られます。その結果、成約率は下がり、営業担当者は以前よりも増えたリードにアプローチするために多くの時間をかけています。

リードスコアリングプロセスを、急速な変化に適応させることができないのには、以下の3つの原因があります。

  1. データ準備の問題:CRM システムには、見込み顧客、連絡先、購入情報など、限られたデータしか蓄積されておらず、リードの注意力度などのウェビナーのデータやマーケティングキャンペーンに対する反応など、重要なデータが不足していました。マーケターやアナリストが、このようなデータを含めるためにはデータエンジニアの助けを借りるケースも少なくありません。しかし、データエンジニアのリソースは限られており、必要なデータ処理の依頼を待たされる事も多く、マーケティングキャンペーンにも遅延が発生しました。また、ウェビナーやマーケティングキャンペーンが頻繁に行われるため、その都度データのクレンジングや準備をするのは多くの時間がかかりました。
  2. スコアリングロジックの複雑さの問題: マーケターは、企業規模、業界、リードの役職などをアドホックに分析して、複雑なスコアリングのルールを作成していました。例えば、役職が部長の場合は50ポイントを与え、パンフレットをダウンロードした場合は10ポイントを加えると言ったルールです。ウェビナーの結果などを新たにルールに反映したい場合、再び長い時間をかけてその影響を分析する必要がありました。
  3. 分析結果に対する不信感:CRM システムに元々含まれているスコアリングのツールは、成約確率を出力するだけで、インサイトが得られないブラックボックスがほとんどです。そのため、マーケターがモデルのアウトプットを信頼することが難しく、マネージャーや営業担当者に説明できません。一方で、営業担当者に何の説明もなく、リストだけを渡した場合、営業担当者は予測値を完全に信用することができず、今まで通り自分の感覚で優先づけしたり、全てのリードにアプローチしようとする場合がよく見られます。

DataRobot はこれらの課題を解決するためのエンドツーエンドのソリューションを提供しています。

  1. データ準備問題の解決策DataRobot Data Prep は、誰でも簡単に CRM システムのデータにアクセスし、マーケティングオートメーションツールなどの他のデータソースとデータを結合することを可能にします。そして、結合キーも自動で検出し、短時間でデータをクレンジングし、大規模に加工することができます。一度作ったデータ準備プロセスを編集・再利用することで、新しいデータに対する準備作業を自動化することもできます。
  2. スコアリングロジックの複雑さ問題の解決策DataRobot Auto ML は、数回のクリックで高速かつ高精度のモデルを構築します。
  3. 分析結果に対する不信感の解決策:特徴量のインパクト特徴量ごとの作用などを使う事でモデルの理解と信頼をもたらします。 最後に、予測の説明を使って、リードが優先された理由を理解する事で、営業チームはリストを納得して活用する事ができます。またインサイトを活用し、見込み顧客に合わせてカスタマイズしたメッセージングを行うこともできます。

以上の様に、DataRobot を活用することで、営業部門とマーケティング部門は、スコアリングルール作成の時間を大幅に短縮し、ビジネス価値を生み出すことができます。

セクション③:DataRobot と Salesforce Sales Cloud をダイレクトに連携したリードスコアリング

リードスコアリングでは、リードに関連するイベントが発生するかどうかを予測します。例えば、リードとのミーティングがセットされるか、リードが案件化されるか、リードが成約するかを予測する場合が多くあります。今回は、リードが成約するかを予測します。そして、Salesforce Sales Cloud からのデータ、および ウェビナーツールやマーケティングオートメーションツールから CSV ファイルとして取得されたデータを使ったモデリング方法を紹介します。

Salesforce Sales Cloud のデータやその他の顧客データからビジネス価値を生み出すためには3つの重要なステップがあります:

  1. データ準備
  2. モデル構築
  3. モデルの運用(予測)

ステップ1:データ準備 

DataRobot Data Prep と Salesforce Sales Cloud の連携はとても簡単です。接続を有効化するには、一般情報とユーザークレデンシャルに必要なフィールドを入力するだけです。

Salesforce Sales Cloud との接続が確立されれば、必要な項目を選択するだけで簡単にデータをインポートすることができます。そして、DataRobot Data Prep では、データの詳細な情報を確認して、パターンをハイライトし、フィルタグラムでデータの異なる断面を見るなど感覚的な UIで、データを深く理解することができます。

しかし、Salesforce Sales Cloud からのデータは限られています。機械学習モデルのパフォーマンスを向上させるには、様々なデータソースから、その他の顧客行動特性でこのデータを充実させることが重要です。例えば、ウェビナーツールのデータから、リードがウェビナーのウェブページを継続的に見ていた時間を表す特徴量、「セッションの注意力継続時間」、を追加することによって、モデルのパフォーマンスを向上させるのかもしれません。

ところが、その他のデータソースから情報を追加したい際に大きな問題となるのが、データセットの結合です。DataRobot Data Prep では、結合キー自動探索機能を使う事で簡単に複数のデータセットを結合する事ができます。

データの準備が終われば、DataRobot の AIカタログにデータをプッシュしてすぐにモデル構築に移る事ができます。

ステップ2:モデル構築

DataRobot Auto ML は数回のクリックでモデリングプロセスを全て自動化します。まずは AI カタログから、DataRobot Data Prep で用意したデータを元にプロジェクトを作成します。

DataRobot Auto ML は、高速で高精度のモデルを構築するだけではありません。特徴量のインパクトと特徴量ごとの作用でモデルが何を学習したかを理解することができるため、営業チームにそのモデルを説明する事もできます。

意力向上のために、オーディエンスの興味を引くより良いウェビナーのコンテンツを準備することは間違いなく役立ちそうですね!

特徴量ごとの作用で、注意力の変化による成約への影響を見ると、リードがウェビナーを注目度が高いほど、成約の可能性が高いことが分かります。 ビジネスの観点からは、これは間違いなく理にかなっており、よりモデルの信頼性を高める結果となります。 また、聴衆の関心を維持するために、ウェビナーでは20分ごとに投票を含めることなどの改善案を考えることができます。

予測の説明で、営業チームはモデルが出す予測値の主要な判断基準を理解することができます。

ここで、成約確率が最も高いトップ2のリードは、45分間(60分のウェビナーセッションの場合)しかウェビナーに参加していなかったことがわかります。しかし、それらのリードは45分の内45分に注意を払っています。ウェビナーに参加するのが遅れたのかもしれませんが、極めて強い関心を持っていました。営業チームは、今すぐにこれらのホットリードに連絡を取るべきです。

ステップ3:モデルの運用(予測)

高精度や信頼できるモデルを構築した後、新規リードのデータをスコアリングするためにモデルをデプロイします。

「モデルをデプロイ」をクリックすると、サーバインスタンスをアクティブ化し、API 介してアクセスすることができます。

時間のかかるステップの一つは、予測データの準備です。しかし、DataRobot Data Prep では、モデリング時に利用した処理ステップを再利用して予測データを生成することができます。処理ステップの再利用で時間の節約し、同時に、DataRobot Data Prep の Automatic Project Flows を使用して、簡単にこのプロセスを自動化・スケジュール化することができます。

そして、API キーを入力とデプロイ済みモデルを選択すると、DataRobot Data Prep から、予測結果、及び予測の説明をすぐにアウトプットすることができます。

最後に、データを CSV ファイルとしてエクスポートし、Salesforce Sales Cloud に手動でアップロードすることで、優先度の高いリードのリストと優先順位の理由を付けた形で、営業担当者にアラートを出すことができます。

まとめ

このブログでは、機械学習を使って B2B CRM マーケティングを改善する方法を紹介しました。DataRobot を活用する事で、データからビジネス価値への道のりで直面する多くの課題を解決することが可能です。DataRobot は Salesforce Sales Cloud から簡単にデータにアクセスすることができ、DataRobot の予測値を使って、営業やマーケティングチームは効果的にリードに優先順位をつけることができます。

ここでは Salesforce Sales Cloud との連携を紹介しましたが、DataRobot は Marketo のようなマーケティングオートメーションツールへのコネクタがあり、Marketoに直接モデルをデプロイする事も可能です。この様に DataRobot は様々なマーケティングツールと簡単に連携し、機械学習を使ったより高度なマーケティング活動を可能にします。

参考情報

Salesforce Sales CloudとDataRobot Data Prepの接続の詳細については、DataRobot Data Prep (旧Paxata)のドキュメンテーションを参考にしてください。「Consumer Key」と「Consumer Secret」は、Salesforce Sales Cloud で接続アプリケーションを作成する必要があります。詳細については、Salesforce 管理者にお問い合わせいただくか、Salesforce Sales Cloud のマニュアル をご覧ください。

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執筆者について
Xavier Fontaine
グザビエ フォンテーヌ(Xavier Fontaine)

データサイエンティスト

DataRobot データサイエンティスト。国籍はフランス人で、日本に在住して10年。元マッキンゼーのデータサイエンティストで、小売・CPG 企業での需要予測、品揃え最適化からマーケティング分野に関する経験を保有。DataRobot のエンド・ツー・エンド AI プラットフォームを活用して、企業の AI 変革を推進。現在、主に小売企業、またマーケティング分野のテーマをもつお客様に対する支援を担当。

グザビエ フォンテーヌ(Xavier Fontaine) についてもっとくわしく
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