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時速320kmでの機械学習
– インディカーレーシング

2021/09/07
執筆者:
· 推定読書時間 3  分

DataRobot のコミュニティマネージャのまなです。エバンジェリズムとアドボカシーの担当をしており、お客様の事例やユースケースを通じて、DataRobot とお客様を繋ぐコミュニティ活動を担当しております。

AI の活用は様々な業界で進んでいます。スポーツ&エンターテイメント業界におけるカーレーシングの活用事例をご紹介します。特定の業界固有の事例は、他の業界に籍をおいていると理解が難しい場合はないでしょうか。スポーツ&エンターテイメントは、親しみやすい分野でもあり、我こそドメインエキスパートと自認しているファンの方もいらっしゃるかもしれません。

スポーツを好む経営者は多く、スポーツ業界の事例であれば、他の業界の経営陣も関心を寄せる傾向があるのだそうです。数多くの AI 活用事例にふれることで、新たな業務適用の可能性の発見につながることもあります。

「インダストリー・スワッピング」はある業界での成功事例を、他の業界へ持ち込む手法です。なぜ他の業界の事例を持ち込むかといえば、同じ業界の競合他社企業の事例では、改善はできても差別化要素につながらないためです。

スポーツ業界はとりわけ、IoT センサーの発達でデータ収集が可能になった背景もあり、データ分析が進んでいます。スポーツチームにとって、データ分析を専門に手掛けるアナリストを擁していることがもはや勝負の命運を分けるような状態になっています。また、 Kaggleにも、多くのスポーツデータに関するコンペが実施されています。

AI という言葉は曖昧な文脈で使われることが多々ありますが、AI の要素を以下のように分解すると分かりやすいのではないでしょうか。

AI = 計算機 x アルゴリズム x データ  *

*出典:安宅和人「シン・ニホン」

AI のビジネス活用を考える時、計算機はクラウドによる圧倒的なコンピューティングリソース、アルゴリズムは DataRobot の AutoML に任せることができます。データに目を向けると、長きに渡り製造現場でデータが蓄積されており、急速に進む DX(デジタルトランスフォーメーション)で、これまでデータ化されてこなかったリアルワールドでの顧客接点データ等の蓄積も始まっています。

皆さんの業務で、どのようなデータがあれば、ご自身の業務課題の解決に活用できるか考えるヒントとして、次に DataRobot AI エバンジェリストである Ari Kaplanによる体験レポートとして紹介します。

(以下、 Learning at 200mph – IndyCar Racing の和訳です)

DataRobot は「Winning at 200mph(時速320kmでの勝利)」をテーマに、Robert Megennis が運転する Andretti Autosports のインディ・レースカーにユニークなスポンサーシップを提供しました。フロリダ州セントピーターズバーグのストリート、トロントのダウンタウン、ポートランド・インターナショナル・レースウェイなどを含む12都市で開催された本イベントは、ロングビーチ・グランプリでシーズンを終了しました。2021年を通して、DataRobot チームは、アメリカ国内で開催された多くのレースイベントに出向き、技術や人、レース文化について学ぶという非常に貴重な経験をしました。これにより、短期的な実行と長期的な計画で最高の状態にもっていく方法を深く理解できたのです。

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これは、Robert とその家族(父親の Gary はマネージャー、母親の Helen はオペレーションを担当)に直に接するまたとない機会でした。また、VIP やご検討中のお客様ともこの貴重な体験を共有ができ、ひとりのお客様はCOVID-19 後、最初の公式ラップペースカーに座ることさえできました。

単なる観客やゲストとしてではなく、ドライバーと家族に密着できるインサイダーとして一日過ごすまたとない機会でした。レース観戦に行ったことがなくても構いません。時速320kmで勝つために何が必要かを知ることは、驚くべき経験なのです。

パートナーシップ

RKM(Robert Megennis)チームとDataRobotとのパートナーシップは特別なものです。Robert は次のように述べています、「今シーズンの DataRobot との仕事は最高でした。彼らをチームの一員として迎えることができてとても楽しかった。Ari のように非常にスマートで前向きな人たちとレースがある週末を一緒に過ごし、多くを学ぶことができました。彼らはデータの重要性をよく知り、データがレーストラックでの私の成功にいかに不可欠であるかを理解しています。1,000分の1秒差が勝敗を分けるとき、正しいデータを持ち、それを適切に解釈できるかが大きな違いを生むのです。また、私のチームプロセスとDataRobot の成功のためのプロセスが似ていることと、どれほど多くのことを DataRobot から学んだかは、正に驚愕に値します。今シーズンのパートナーシップは非常に有意義なものであり、今後も続けていきたいと思っています。私たちの関係にとても感謝しているのです。」

レースの流れ

週末は土曜日に1回、日曜日に1回行われる予選レースで構成されており、各レースカーがどの位置からスタートするかを決めます。1位でのゴールは理想ですが、そうでなくてもトップ3に入り「表彰台」に立つことをチームは目指します。勝利は、ただ勝利という名誉だけでなく、ドライバーの知名度向上、スポンサー獲得、ファンの獲得にもつながります。また、10位など後方からのスタートであれば、8位や9位などより高い順位でゴールすることが目標となり、優勝しなくても、他の車を抜いて順位を上げていくことに価値があります。

数字で見るインディカーレーシング

750,000ドル – インディカーの価値

5,000ポンド – 上位インディカーのダウンフォース

1,500 ポンド – インディカーの重量(約680kg)

700馬力 – インディカーの馬力(インディライツは500馬力)

120度(華氏)– ドライバーが耐えなければならない暑さ(摂氏48度)
(1レースでおよそ5ポンド/約2.25kg 体重が減る)

15歳 – エントリーレベルシリーズに参加できるドライバーの最年少年齢(運転免許証よりも早い年齢で取得可能)

7秒 – ピットインとアウトの時間は7秒以下

3シート– 摩耗のために1年で交換するかーシートの数

レース当日

レース当日は、チーム全体が「ハイギア」で準備を進めます。レース前のミーティングで戦略を練り、エンジニアやクルーは何百ものメカニカルな機能を幾度も確認します。

ドライバーそのため、人によって異なる準備の仕方でコースに挑みます。そのため、それぞれの準備方法でコースに挑みます。それと並行して、Robert の両親は、駐車場や観戦エリアに入る VIP ゲストやスポンサーの調整をおこない、また Robert に直接会えるように手配します。

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DataRobot は、常時食事や飲み物を提供するホスピタリティテントを用意し、サーキットを一望できる席で、スポンサーの VIP 顧客(主にCレベルの技術系エグゼクティブ)と交流しました。

Gary は、全車両の製造工程、メカニック、修理、戦略などの舞台裏を丁寧に説明し、また、アラバマではレース中にグループ全員をピット近くのコースに連れていってくれました。

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インディカーはどれも高度な技術を必要とします。走行中にピットクルーからレーサーにヘッドセットで情報が伝達されることで、マシーンや対戦相手の変化を検知し、レースの準備や勝利に貢献します。また、マシーンは、タイヤ、エンジン、シャシー、ホイールなど同じパーツを使用しなければなりません。

毎週末、車のあらゆる部分が検査され、さらにランダムな検査も行われます。例えば、エンジンの内部を分解して、すべての部品が適合しているかどうかを確認しますが、それでも300もの変更可能な箇所があり、その設定によりドライバーが有利になる可能性もあります。例えば、車のリアを数ミリ下げることで、コーナーでのリアの張り出しが増し、ドライバーが自信を持って限界に挑戦できるようになります。

レースの世界では、戦略がすべてであり、勝者と敗者を分けます。勝つためには、クルマのメカニズムだけでなく、人間の行動も重要です。例えば、ドライバーは練習中であっても、他の車に抜かれてはいけません。コース上でドライバーが受け身だと、それは弱さのメッセージとなるからです。他のドライバーはすぐにそれに気付き、あなたをクラッシュするようなポジションに追い込むなど、あなたの弱さを利用しようとしてより積極的な心理操作を始めます。

今後の展開 

束の間の爽快感が終わるとどうなるのでしょう。

毎回レースが終わると、チームはデブリーフィングを行います。車に搭載された300個のセンサーが1秒間に1,000回以上のデータを収集しレースデータを確認します。そして、以下の点を話し合います。

  • レース戦略 – 3周目に追い越しをかけることはできなかったか?
  • ロバートのドライビング – コーナーを広く取るべきだったか?ブレーキが早すぎたか?
  • マシーンのエンジニアリング – エンジンの加熱が早すぎたのか?空力性能は期待通りだったのか?
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Andretti Autosports には、データアナリストのチームがあり、Robert と一緒にデータを解釈し、可能な限り競争力を高められるようサポートしています。次のレースに向けて反復練習するために、Robert は次回のレース場のシミュレーターを使用し、バーチャル空間でミスせずに2時間の訓練をします。

インディレースで成功するには、技術的な戦略だけでなく、関わる人など多くの要素が含まれます。まさに、短期的な実行と長期的な計画で最高の状態にもっていく方法を深く理解することで、信じられない体験をしたと言えるでしょう。

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AI と機械学習を活用し大勝利を

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執筆者について
Ari Kaplan(アリ・カプラン)
Ari Kaplan(アリ・カプラン)

AI エバンジェリスト

Kaplan は、データサイエンス、スポーツアナリティクス、ビジネスリーダーシップの第一人者として活躍しています。Chicago Cubs のアナリティクス部門を創設し、ホロコーストの英雄 Raoul Wallenberg の運命を調査する会の会長、世界的なオラクルユーザーグループの名誉会長をつとめるなど、常に注目を集める役割を担っています。

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松舘 学(Manabu Matsudate)
松舘 学(Manabu Matsudate)

コミュニティマネージャー

DataRobotのコミュニティマネージャ。オンラインコミュニティや、ユーザー会を担当。バックグラウンドは、世界最大のビジネスソフトウェア企業におけるディベロッパーアドヴォケイト、エバンジェリスト。BI/データウェアハウス、米国の老舗統計ソフトウェア企業のプレセールス担当。

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