DataRobot でモビリティ分野のお客様を担当しているデータサイエンティストの山本光穂(やまもとみつお)です。
前回の「DataRobot Codespaces / Notebooksで実現。データサイエンスの革新を加速する統合環境」に引き続き、本記事ではDataRobot Codespaces / Notebooksについて、管理者目線での主な特徴と利点を詳しく解説します。
1. DataRobot Codespaces / Notebooksの概要
コードセントリックなデータサイエンティストを多く抱える組織にとって、AI開発環境の管理は複雑で時間のかかる課題となっています。DataRobot Codespaces / Notebooksは、この課題に対する包括的なソリューションを提供し、AI開発プロセスの効率化と最適化を実現します。(図1,図2)


2. DataRobot Codespaces / Notebooksの管理者視点での主な特徴と利点
2.1 簡単な環境管理
従来のPython環境やJupyter Notebook環境では、サーバーのセットアップや日々の運用、ユーザーごとの環境設定やアクセス権限の管理が必要でした。また、それらを動作させる環境は、ユーザーのPC上で実行するケースもありました。セキュリティの観点や、ライブラリの管理など、管理者にとっては煩雑な作業が必要でした。
これに対し、DataRobot Codespaces / Notebooksの最大の特徴は、環境管理の簡素化です。管理者は通常のDataRobotユーザーを作成するだけで、Python/R環境を提供できます。ユーザーはDataRobotにログインするだけで、すぐに実行環境を利用できます。
また、DataRobot社が提供するPython/Rの開発環境だけではなく、会社が独自に開発したライブラリなどを事前に入れ込んだ開発環境を作成することができます。これから、ユーザーは環境構築に時間を費やすことなく、すぐに開発を開始できます。
2.2 コスト管理の容易さ
従来のクラウドベースのノートブック環境では、個々のインスタンスの起動・停止や課金状況の監視など、煩雑な管理作業が必要でした。DataRobot Codespaces / NotebooksはDataRobotプラットフォーム利用のライセンスと統一化されているため、コスト管理が格段に容易になります。
管理者はリソース、権限、コスト等の細かい管理を行う必要がありません。ユーザーは、あらかじめ設定された利用可能なリソースの範囲内で自由に環境を使用できます。
2.3 セキュリティの強化
セキュリティ面でも大きな利点があります。DataRobotのプラットフォームに完全に統合されているため、既存のセキュリティポリシーを活用できます。また、今後実装予定のネットワークポリシー機能により、ユーザーがアクセス可能なインターネットリソースを制御することが可能になります。
これは、特にセキュリティ要件の厳しい組織にとって大きなメリットとなります。従来のJupyter Notebook環境では、セキュリティ設定が複雑で設定ミスのリスクが高く、外部パッケージの安全性確認も困難でした。DataRobot Codespaces / Notebooksでは、これらの課題が解決され、より安全な環境を簡単に提供できます。
2.4 柔軟なリソース管理
リソース管理の柔軟性も特筆すべき点です。サブスクリプションに応じて、最大32GBのメモリを持つインスタンスまで選択可能です。例えば、Business Criticalサブスクリプションでは、8CPU / 32GB RAMのインスタンスを最大15個まで同時に起動可能です。これにより、大規模なデータ処理や複雑なモデル開発にも対応できます。また、今後GPUインスタンスのサポートも予定されています。
3. その他の重要な特徴
3.1 ユーザー管理とアクセス制御
DataRobotのユーザー管理システムに準拠しており、Notebooks/Codespaceの機能利用権限をAutoMLなどの他機能と独立して定義することが可能です。また、シングルサインオン(SSO)にも対応しています。これにより、既存の認証システムと連携したシームレスなアクセス管理が可能になります。
3.2 パッケージ管理
セルフマネージド版では、ネットワークを管理してDataRobotを遮断することで、ユーザーのパッケージインストールを制御できます。マネージドサービスでは、今後実装予定のネットワークポリシー機能により、さらに細かい制御が可能になります。これにより、組織のセキュリティポリシーや規制要件に準拠しつつ、必要なパッケージを利用可能にするバランスの取れた環境を提供できます。
3.3 データの永続化と大規模データの取り扱い
Codespacesでは、ファイルやデータは永続化されています。大規模なデータセットを扱う場合は、S3などの外部ストレージやデータベースと連携することで、効率的に処理することができます。これにより、ユーザーは継続的な開発作業が可能になり、大規模データの取り扱いも柔軟に対応できます。
4. 管理者視点でのDataRobot Codespaces / Notebooksを活用するメリット
DataRobot Codespaces / Notebooksは、管理者の負担を大幅に軽減しながら、データサイエンティストやMLエンジニアに強力な開発環境を提供することができるソリューションです。環境管理の簡素化、コスト管理の容易さ、セキュリティの強化、柔軟なリソース管理など、多くの利点があります。
さらに、ユーザー管理、アクセス制御、パッケージ管理、データの永続化といった特徴により、組織のニーズに合わせた細かな調整が可能です。これらの特徴は、特に大規模な組織や厳格なセキュリティ要件を持つ企業にとって、非常に魅力的なものとなるでしょう。
DataRobotの統合プラットフォームの一部として、Codespaces / Notebooksを活用することで、より効果的かつ効率的なAI/ML開発環境を構築することができます。ぜひ、お客様の組織でのCodespaces / Notebooksの活用をご検討ください。導入や具体的な活用方法についてのご質問、あるいはさらに詳しい情報が必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。
データサイエンスプロジェクトの効率化を図るなら「DataRobot」
DataRobotでは、トライアル環境を提供しています。以下のURLから、アカウントを作成することができます。
https://www.datarobot.com/jp/trial
トライアル環境では、DataRobotの主要な機能を使用することができます。機械学習モデルの開発や運用に興味がある方やすでに携わっている方も、ぜひこの機会にDataRobotを体験してみてください。
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複雑化する意思決定プロセスにおいて、適切なインサイトを迅速に得ることは、ビジネスリーダーにとって不可欠です。しかし、従来のアナリティクス手法や多忙を極めるデータチームの存在が、このプロセスを遅延させています。また、AI導入の現場では、長期にわたる実装サイクルやシステム統合の課題が、進捗を妨げています。 実際、AI導入の責任者の66%が、企業目標に沿ったAIソリューションを展開するための適切なツールが不足していると回答しています。特に、7ヶ月以上に及ぶ導入期間やシステム統合の困難さは、経営層の期待に応える上での大きな障壁となっています。 生成AIとAIエージェントは、これらの課題を解決する可能性を秘めていますが、導入は依然として容易ではありません。ビジネスリーダーの77%が、競争における後れを懸念し、チームに導入の加速を強く求めています。 この状況を打開するためには、より複雑なツールへの投資ではなく、即戦力となる構成済みのAIエージェントアプリケーションの導入が最も効果的です。


こんにちは、DataRobotデータサイエンティストの長野です。普段はDataRobotでデータサイエンティストとして製造業・ヘルスケア業界のお客様を担当しています。技術面では生成AIプロジェクトのリードを担当しています。本記事では、DataRobotのBYOLLM(Bring Your Own LLM)と呼ばれる仕組みを用いて、Hugging Face Hubから取得したLLMをDataRobot環境にホスティングする方法をご紹介します。