AIエージェントのプロジェクトが、未だにPoC段階で止まっていませんか?私たちと一緒に解決しましょう。

本ブログはグローバルで公開された「Are your AI agents still stuck in PoC? Let’s fix that.」の抄訳版です。

AIチームの多くは、数日でプロトタイプのエージェントを構築できます。しかし、プロトタイプを企業の期待に応えるような本番環境に移行させる際に、プロジェクトは停滞してしまいます。

反復プロセスが数週間から数か月に及ぶ統合作業となり、プロジェクトはPoCの停滞状態に陥り、ビジネスの発展が滞ってしまいます。

プロトタイプを本番環境に対応したエージェントに変えることは、単に難しいだけでなく、ツール、フレームワーク、セキュリティが絡み合った迷路であり、チームの開発速度を低下させ、リスクを増大させます。

この記事では、DataRobotのエージェントワークフォースプラットフォームを使用して、それらを構築、展開、および管理する方法を段階的な手順に沿ってご紹介します。

チームがエージェントを本番環境に導入することに苦労する理由

ほとんどのチームにとってPoCの停滞から抜け出せない要因は2つです。

1. 複雑な構築
ビジネス要件を信頼性の高いエージェントワークフローに変換することは簡単ではありません。厳格な品質、レイテンシー、コスト目標のバランスを取りながら、無数のLLM(大規模言語モデル)、SLM(小規模言語モデル)、埋め込みモデルの選定戦略、ガードレールの組み合わせを評価する必要があり、プロセスを反復するだけでも数週間かかることがあります。

2. 運用上の課題
ワークフローが機能したとしても、本番環境への展開はマラソンのようなものです。チームは、コンプライアンスと運用上のリスクを低減するために、インフラストラクチャの管理、セキュリティガードレールの適用、監視の設定、管理に数か月を費やします。

現在ある選択肢では、これらの課題を解決できません。

  • 多くのツールは、構築プロセスの一部を高速化できますが、多くの場合、統合されたガバナンスオブザーバビリティ、および制御機能が不足しています。また、ユーザーは特定のエコシステムに縛られ、モデルの選択やGPUリソースの柔軟性が制限され、評価、デバッグ、継続的な監視へのサポートが最小限です。
  • 独自のスタックを構築する方法は、より高い柔軟性を提供しますが、複数のシステムを構成、保護、接続するための多大な労力が必要です。チームはインフラストラクチャ、認証、コンプライアンスを独自に処理する必要があり、数週間で済むはずの作業が数か月かかってしまいます。

その結果、ほとんどのチームは、PoCを越えて本番環境に対応したエージェントを構築することができません。

エージェントライフサイクルに対する統合的なアプローチ

「エージェントワークフォースプラットフォーム」は、構築、評価、デプロイ、ガバナンスといった複数のツールを個別に扱うのではなく、これらの段階を1つのワークフローに統合します。また、クラウド、オンプレミス、ハイブリッド、エアギャップ環境(外部ネットワークから物理的/論理的に隔離された環境)など、あらゆる環境へのデプロイをサポートします。

  • あらゆる場所で構築可能: Codespaces、VSCode、Cursor等の開発環境や、LangChain、CrewAI、LlamaIndexのようなOSSフレームワークを使用するあらゆるノートブックで開発し、単一のコマンドでアップロードできます。
  • ワークフローの評価と比較: 組み込みの運用メトリクスと行動メトリクス、LLM-as-a-judge(LLMによる評価)を活用し、人間が介在するレビューと合わせて複数のワークフローを比較検討できます。
  • 問題の迅速な追跡とデバッグ: すべてのステップでの実行を視覚化し、プラットフォーム内でコードを編集して評価を再実行することで、エラーをより早く解決できます。
  • ワンクリックまたは単一コマンドでデプロイ: DataRobot上または自社環境のいずれにおいても、手動でのインフラ設定なしでエージェントを本番環境に展開できます。
  • 組み込みおよびカスタムメトリクスで監視: DataRobotのダッシュボードで機能と運用に関するメトリクスを追跡したり、OTel準拠のデータを使ってお好みのオブザーバビリティツールにもエクスポートできます。
  • 稼働した日からガバナンスを適用: リアルタイムのガードレールと自動化されたコンプライアンスレポートを適用することで、セキュリティを強化し、リスクを管理し、追加ツールなしで監査に備えることができます。

企業レベルの機能には、以下のようなものがあります。

  • マネージドRAGワークフロー: PineconeやElasticなど、選択したベクターデータベースを利用してRAGを実現します。
  • ハイブリッド環境向けエラスティックコンピューティング: コンプライアンスやセキュリティを損なうことなく、高性能なワークロードに対応するためのスケーリングが可能です。
  • 幅広いNVIDIA NIM統合: クラウド、ハイブリッド、オンプレミス環境等のあらゆる環境で推論を最適化します。
  • 「すぐに使える」LLMアクセス: 1組の認証情報で、OSSおよびAnthropic、OpenAI、Azure、Bedrockなどの商用モデルにアクセスでき、APIキー管理のオーバーヘッドをなくします。
  • OAuth 2.0準拠の認証およびロールベースのアクセス制御(RBAC): セキュアなエージェント実行とデータ管理を実現します。
エージェントワークフォースプラットフォーム

プロトタイプから本番環境へ:ステップバイステップ

各チームが本番環境へ移行するまでの道のりは異なります。以下のステップは、エージェントのライフサイクルの管理(構築、デバッグ、デプロイ、監視、ガバナンスなど)における一般的なタスクを示しています。

ご自身のワークフローに合うステップを活用するか、一連の流れ全体に沿ってエンドツーエンドのプロセスにお役立てください。

1. エージェントの構築

使い慣れたフレームワークから始めましょう。DataRobotのパブリックGitHubリポジトリにあるLangGraph、CrewAI、LlamaIndex用のエージェントテンプレートとCLI(コマンドラインインターフェース)を使用して、素早くセットアップできます。

リポジトリをローカルにクローンし、agent.pyファイルを編集し、単一のコマンドでプロトタイプをプッシュするだけで、本番環境への準備と詳細な評価が可能になります。Agent Workforce Platformが、依存関係、Dockerコンテナ、そしてトレーシングや認証のための統合をすべて処理します。

エージェントの構築

2. ワークフローの評価と比較

エージェントをアップロードしたら、エージェント、サブエージェント、およびツール全体のパフォーマンスを測定するための評価メトリクスを設定します。

PII(個人識別情報)および有害性チェック、NeMoガードレール、LLM-as-a-judgeのフレームワークを活用するオプション機能に加え、ツール呼び出しの正確性や目標達成度などのエージェント固有のメトリクスから選択できます。

その後、エージェントプレイグラウンドを使用してエージェントにプロンプトを送り、評価スコアとともにその応答を比較します。より詳細なテストを行う場合は、合成データを生成するか、人間によるレビューを追加することも可能です。

ワークフローの評価と比較

3. トレースとデバッグ

エージェント プレイグラウンドを使えば、実行トレースをUI上で直接確認できます。各タスクをドリルダウンして、パイプラインのすべてのステップにおける入力、出力、メタデータ、評価詳細、コンテキストを詳細に確認することが可能です。

このトレース機能は、トップレベルのエージェントだけでなく、サブコンポーネント、ガードモデル、評価指標も網羅しています。これにより、エラーの原因となっているコンポーネントを素早く特定し、コードの問題箇所を正確に突き止めることができます。

トレースとデバッグ

4. エージェントの編集と再テスト

評価メトリクスやトレースで問題が明らかになった場合は、UIでコードスペースを開いてエージェントのロジックを更新できます。変更を保存して、プラットフォームから離れることなくエージェントを再実行できます。更新内容はレジストリに保存されるため、反復プロセスを行う中で単一の信頼できる情報源が確保されます。

この機能は、エージェントを最初にテストする際に役立つだけでなく、新しいモデル、ツール、データを取り入れてアップグレードしていく際にも役立ちます。

エージェントの編集と再テスト

5. エージェントのデプロイ

ワンクリックまたは単一のコマンドで、エージェントを本番環境にデプロイできます。プラットフォームが、クラウド、オンプレミス、ハイブリッド環境にわたるハードウェアのセットアップと構成を管理し、一元的な追跡のためにデプロイ情報をプラットフォームに登録します。

エージェントのデプロイ

6. デプロイ済みエージェントの監視と追跡

組み込みの監視・追跡機能により、デプロイ済みエージェントのパフォーマンスと動作をリアルタイムで追跡できます。コスト、レイテンシー、タスク達成度、目標精度、そして個人識別情報(PII)の漏えい、有害性、プロンプトインジェクションのリスクといった安全性指標などの主要なメトリクスを確認できます。

OpenTelemetry(OTel)に準拠したトレースは、ツールへの入力や出力、コンポーネントレベルとワークフローレベルの両方におけるパフォーマンスなど、実行のあらゆるステップを可視化します。

アラートを設定して問題を早期に発見し、コンポーネントをモジュール化することで、ツール、モデル、またはベクターデータベースを個別にアップグレードしながら、その影響を追跡できます。

デプロイ済みエージェントの監視と追跡

7. 設計段階からのガバナンス適用

セキュリティ、コンプライアンス、およびリスク管理を、後から追加するのではなく、ワークフローの一部として扱います。エージェントワークフォースプラットフォーム内のレジストリは、すべてのエージェントとモデルに対する一元的な情報源となり、アクセス制御、リネージ、トレーサビリティを提供します。

リアルタイムのガードレールは、PII(個人識別情報)の漏洩、ジェイルブレイクの試み、有害性、ハルシネーション、ポリシー違反、および運用上の異常を監視します。自動化されたコンプライアンスレポートは、複数の規制フレームワークをサポートし、監査にかかる労力と手作業を削減します。

設計段階からのガバナンス適用

エージェントワークフォースプラットフォームが他と異なる点

他のサービスと一線を画す「エージェントワークフォースプラットフォーム」の強みは、セキュリティ、柔軟性、監視を犠牲にすることなく、数か月かかっていた作業を数日に短縮できることです。

一つのプラットフォームで、完全なライフサイクル管理 オンプレミス、マルチクラウド、エアギャップ、ハイブリッド環境にわたるエージェントのライフサイクル全体を、複数のツールを組み合わせることなく一元管理できます。

評価、デバッグ、オブザーバビリティを統合 プラットフォームから離れることなく、包括的な評価、実行の追跡、問題のデバッグ、リアルタイムのパフォーマンス監視が可能です。ミッションクリティカルなプロジェクトでも、詳細なメトリクスとアラートを利用できます。

ガバナンスとコンプライアンスを統合 プラットフォーム内のAIレジストリが、エージェント、データ、モデル、アプリケーションといったすべてのアセットのバージョン管理とリネージ(由来・来歴の追跡)を追跡します。リアルタイムのガードレールと自動レポート機能により、手作業によるコンプライアンス作業が不要となり、監視を簡素化します。妥協のない柔軟性 エンタープライズグレードのセキュリティとスケーラビリティを備えたプラットフォーム上で、あらゆるオープンソースや商用フレームワークやモデルを使用できます。

プロトタイプから本番環境、そしてその先へ

企業向けのエージェントを構築するのは、最初のステップに過ぎません。このガイドは、ユースケースが拡大しても、ガバナンスと制御を維持しながら、より迅速に進むための基盤を提供します。構築を始める準備はできましたか?無料トライアルを始めてみましょう。

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