DataRobotをご愛顧いただきありがとうございます。DataRobot Japanで副社長をしています小川幹雄です。
AIの活用が新たなステージに進む中、単一のモデルが単一のタスクを実行する時代は終わりを迎えようとしています。これからの主役は、複数のAIやツール、データソースが連携し、複雑なビジネスプロセスを自律的に実行する「AIエージェント」です。
この大きな変革の波に対応するため、DataRobotは、「DataRobot AIエージェントテンプレート」を開発しました。
これは単なる新機能ではありません。DataRobotがこれまで培ってきたAIプラットフォームの集大成として、そして未来のAI開発のスタンダードとして設計されています。DataRobotが持つ強力なAI構築機能のすべてを繋げ、オーケストレーションするための、まったく新しいAIエージェントシステム構築テンプレートの登場です。
DataRobot AIエージェントテンプレート とは?
DataRobot AIエージェントテンプレートは、複雑なタスクを実行するために設計されたAIエージェントを、DataRobotのプラットフォーム上でシームレスに開発、デプロイ、運用、監視、そして共有することが出来るようになるテンプレートです。
国際的に有名な様々なエージェントフレームワークに対応し、IaC構築やモニタリング、認証系など非機能要件を全て最初から組み込んでいることにより、AIエージェントの機能要件の開発に集中することができます。
そしてこのテンプレートでは、これまでお客様がDataRobotで構築してきた信頼性の高いAutoML(予測AI)、データ前処理のロジック、強力な生成AI、そしてVector DBまで、DataRobotのコア機能のすべてを、MCP (Managed Compute Platform) を通じてシームレスに「ツール」として呼び出すことも可能です。
これにより、既存のAI資産を最大限に活用し、一つの強力なAIエージェントシステムとして連携・動作させることができます。

AIエージェントテンプレートが実現するAI開発の未来
AIエージェントテンプレートは、AIエージェント開発におけるライフサイクル全体を革新します。開発の柔軟性から、エンタープライズレベルの運用、ガバナンスに至るまで、DataRobotならではの強みをAIエージェント開発に拡張します。
1. 柔軟な開発とシームレスなデプロイ
AIエージェント開発は、従来のモデル開発とは異なる複雑さを持ちます。AIエージェントテンプレートは、このプロセスを劇的に簡素化・高速化します。
- 統合開発環境: AI開発で実績のあるコードスペース(マネージド開発環境)を利用し、エージェントのロジック開発からデプロイ前の検証までを一気通貫で行えます。
- 世界標準フレームワークとの連携: エージェント間の連携ロジック(繋ぎ部分)として、Crew.ai、Langgraph、Llama Index、NVIDIA NeMo Agent toolkitといった世界的な標準フレームワークのサポートを拡充しています。これにより、業界のベストプラクティスを迅速に取り入れ、柔軟な開発が可能になります。
- IaC (Infrastructure as Code) による品質担保: テンプレート自体にPulumiが組み込まれており、開発環境で作成したエージェントシステム構成を、そのままの品質で検証環境、本番環境へとデプロイ(再現)できます。
- リアルタイムなAI切り替え: 本番デプロイされたエンドポイントは、サービスを停止することなく、リアルタイムにAI(エージェント)のバージョン切り替えを可能にします。これにより、迅速な改善サイクルを実現します。
2. エンタープライズレベルの運用とガバナンス
AIエージェントが自律的に動作するからこそ、その監視と制御(ガバナンス)はこれまで以上に重要です。
- 拡張されたモニタリング: モニタリング機能はマルチエージェント環境に拡張されています。システム全体のパフォーマンスだけでなく、各エージェント単位や、エージェントが使用するツール単位での詳細なモニタリングが可能です。
- 強力なガードレール: DataRobotの堅牢な生成AIガードレール機能(コンプライアンス、セキュリティ、品質担保)がエージェントシステム全体に適用され、安全な運用を担保します。
- セキュアな認証とSSO: DataRobotのクレデンシャル管理機能と連携し、外部API認証を安全に管理します。さらに、DataRobotプラットフォームの認証系を利用するため、SAMLやSSOと連携したセキュアなアクセス制御も容易に実現できます。
3. AI資産の再利用と「エージェントのカプセル化」
AIエージェント開発の効率は、いかに優れた「ツール」を再利用できるかにかかっています。
- エージェントとツールのレジストリ: 開発したツールだけでなく、AIエージェント自体もレジストリに登録・管理できます。登録されたエージェントは、別のエージェントから「ツール」として呼び出すことが可能(カプセル化)となり、高度で複雑なエージェントシステムを段階的に構築できます。
- チームでの資産共有: レジストリ機能は、チーム間で有用なツールやエージェントを共有し、使い回すことを可能にし、開発効率を飛躍的に高めます。
- NIMS連携: NVIDIA NIMsにも対応しており、デプロイ済みのNIMsと連携した高度なエージェント構築もサポートします。
4. ビジネスに直結する高可用なアプリケーション化
開発したAIエージェントは、APIとして利用するだけではありません。
- 高可用なアプリケーションホスティング: 開発したエージェントは、DataRobotのアプリケーションホスティング機能により、ReactやStreamlitを用いたWebアプリとして即座にデプロイできます。レプリカ数を増やすことで、容易に可用性(HA)を持たせることも可能です。
DataRobot AIエージェントテンプレート まとめ
DataRobot AIエージェントテンプレートは、お客様のAI活用を「モデル開発」から「AIエージェントによる業務自動化」へと昇華させるための鍵となります。
DataRobotが長年培ってきたAutoMLの信頼性、生成AIの革新性、そしてエンタープライズAIプラットフォームとしての運用性を、すべてこのAIエージェントテンプレートに集約しました。
AIエージェントがビジネスの中核を担う未来を、DataRobotと共にオーケストレーションしませんか?
DataRobot AIエージェントテンプレートに関するご質問やデモのご要望は、担当営業までお気軽にお問い合わせください。