DataRobot AIアカデミーが、AIエージェント時代に対応。生成AI講座をアップデート!

DataRobot Japanの菅原、濱上、清水です。第14期 DataRobot AIアカデミーの講義「生成AI・AIエージェント概論」の講師を担当しました。普段は、ポストセールスチームメンバーとして、生成AI技術を活用したプロジェクトにおいてビジネス観点と技術観点からお客様を支援しています。

はじめに:DataRobot AIアカデミー、AIエージェント活用の最前線へ

DataRobot Japanが提供する「DataRobot AIアカデミー」は、ビジネス価値創出に貢献できるデータサイエンティスト育成を目指す約3ヶ月間の研修コースです。毎週の講義と演習、更に卒業試験と卒業発表を経て、AIプロジェクトをリードするための知識/技術と経験を獲得できます。

AIアカデミーは、2019年の第1期開講から数えて、2025年9月開講の今回で第14期を迎えました。前回、2025年2月開講の第13期では、新講義「生成AI概論」がカリキュラムに加わるなど、技術の進歩とともにAIアカデミーもアップデートを続けています。

「生成AI概論」この終日の講座は、生成AIの基礎知識からプロジェクト企画、リスク対策、そして実践的な技術までを網羅しており、受講者が生成AIプロジェクトを推進できるレベルに到達することを目指しています。

生成AI技術は日進月歩で進化しています。例えば前回の開講(前回の開催報告ブログはこちら)以降も、ローカルLLMやAIエージェントなど新たな技術が注目を集めています。そこで、私達は今期の「生成AI・AIエージェント概論」を、前回講座で扱った「生成AIの基礎知識、プロジェクト企画と推進、リスク対策、RAG等の実践的な技術」という4つのテーマに基づきつつも、最新の技術動向に合わせてアップデートしました 。本記事では、この最新の講義内容をビジネス編と技術編の2部構成でご紹介します。この構成は、生成AI導入を検討するビジネスリーダーや企画・推進担当者や実際に生成AIアプリを構築・運用する技術者がプロジェクトを遂行する際に不可欠な観点を網羅しています。

【ビジネス編】生成AI・AIエージェントをビジネス変革に繋げる: 企画・リスク管理の羅針盤

このパートは、AIエージェントの導入を検討している経営層や企画・推進部門の担当者を主な対象とします 。要件定義やプロジェクト立案のパートで、「どうプロジェクトを成功させるか」と「どう安全に運用するか」という導入における最大の関心事に焦点を当てます。生成AIプロジェクトの失敗を避けるべく、プロジェクト企画とそのリスク対策のフレームワークを解説します。

1:AIエージェントが変える業務の未来図と活用パターン

本章では、AIエージェントとエージェント型AIの違いを明確にした上で、RPA、BI、予測AIといった既存技術と連携するAIエージェントの適用領域を学びます。NZ Post社の予測AIと生成AIの組み合わせによるビジネス価値の最大化に関する事例を取り上げ、AIエージェントの実践例も紹介しました。

AIエージェントとエージェント型AI比較
AI ITテーマの判断フロー
2:失敗しないAIエージェントプロジェクトの企画術

AIエージェントプロジェクト成功を左右するのは「AIエージェント利用者(ペルソナ)」の設定、及び「実現性」と「ビジネスインパクト」の試算です。予測AIや従来の生成AIと同様に、AIエージェントのプロジェクトにおいても、課題ドリブンアプローチで、利用者の実業務を想定し、AIエージェント導入の実現性と導入によるビジネスインパクトを見積もることが欠かせません。本章では、そのフレームワークとして「AIエージェントデザインシート」の活用を紹介しました。

AIエージェントデザインシート
3:生成AI・AIエージェントプロジェクト特有のリスクと多層的な対策

本章では、生成AI・AIエージェントプロジェクトにおける最重要課題の一つであるリスク管理について、「許容できないリスク」から「極小リスク」までのリスク格付け方法について紹介しています。その上で、アジャイルな開発体制の中でも安全性を担保する、「3つの防衛線」によるガバナンス構築のポイントを解説しました。

AIエージェントのリスク評価
生成AIリスク対応のポイント

【技術編】RAGからAIエージェントまで: ビジネス応用のための技術実践ガイド

このパートは、実際に生成AIシステムを構築・運用する技術者を主な対象とします。現場で役立つ生成AIシステムの「型」を習得し、RAGによるハルシネーション対策から、予測AIと生成AIを連携したAIエージェントの実装までを解説します。

4:LLM選定とプロンプトエンジニアリング

現在広く普及しているクラウドLLMと比較して、ローカルLLM(SLM)のメリット・デメリットや、それぞれのLLMのコスト試算方法について詳細に解説しています。また、LLMの性能が改善し続けている現在も通用するプロンプトエンジニアリングの普遍的な原則とその具体例を紹介します。

LLM選定とプロンプトエンジニアリング
5:LLMの信頼性を高めるRAG実装ノウハウ

LLMの精度と信頼性を高めるRAGの基本フローと精度改善のためのステップ(チャンキング、リトリーバー選定など)を紹介しています。また、評価指標(ROUGE-1、忠実度、正確性など)を用いたRAGの回答品質評価の自動化とデバッグ方法について解説しました。

LLMの信頼性を高めるRAG実装ノウハウ
LLMの信頼性を高めるRAG実装ノウハウ
6:AIエージェントの高速実装と改善サイクル

本章では、ビジネスシーンでのAIエージェント利用の具体イメージを掴むことを目的として、ユーザーの言葉を理解し、データ分析や可視化を可能にする「データと会話するエージェント」と、予測AIのアウトプットを生成AIで説明し、ビジネスアクションまでの業務プロセスを自動化し付加価値を生み出す「予測コンテンツ生成ジェネレーター」をアプリケーション上で動かす演習を行います。受講者には、製品不良予測から製造プロセス改善提案までの一連の業務フローを自動化するアプリケーションの作成を通して、AIエージェントアプリケーションが製造現場における意思決定の迅速化に貢献するイメージを掴んでいただきました。

「データと会話するエージェント」と「予測コンテンツジェネレーター」はDataRobot アプリケーションテンプレートとして提供されているテンプレートで、素早く起動することができ、業務課題にフィットするようにアプリケーションのUI・UXをカスタマイズすることも可能です。また、これらのアプリケーションテンプレートを利用することでLLMOps環境もDataRobot内に自動で立ち上がるため、LLMの回答品質を常に監視でき、問題があれば速やかにデバッグすることが可能です。

なお、AIモデルのライフサイクル管理については、『AIモデルのガバナンス(MLOps/LLMOps)』というAIアカデミーの別講義でより深掘りされます。この講義で受講者はAIモデルのライフサイクル管理を行うことで、ビジネス現場でAI活用の『攻め』と『守り』を両立させながら、継続的にビジネス価値創出ができることを学びます。

AIエージェントの高速実装と改善サイクル

まとめ:AIエージェント時代に対応したDataRobot AIアカデミー

今期DataRobot AIアカデミーの「生成AI・AIエージェント概論」は、生成AIの進化に合わせてAIエージェントに重点を置きつつ、ビジネスの視点から技術的な実装、リスク管理までを網羅する実践的な内容にアップデートされました。本講義の内容が生成AI・AIエージェントプロジェクト推進に貢献できることを期待しています。AIアカデミー卒業生のインタビューブログでは、前回の2025年2月開講の第13期をご卒業されて、現在AIプロジェクトを推進されている方々の体験談が紹介されていますので、ぜひご確認ください。

AI で迅速にビジネス価値向上を実現。今すぐ始めましょう。