NVIDIA NIM x DataRobotが拓くAIエージェントの新時代:最先端生成AIモデルを迅速に活用

AIエージェントの活用が企業競争力を左右する時代となりました。2025年3月19日付のプレスリリース「NVIDIAとの連携でDataRobotがAIエージェントアプリケーションを加速」で発表したように、DataRobotはNVIDIA AI Enterpriseとの連携を拡大し、お客様のAIエージェント開発を強力に支援します。本ブログでは、その中でもNVIDIA NIMとの連携がお客様のビジネスにどのようなメリットをもたらすのか、具体的な活用例を交えてご紹介します。

最先端の生成AIモデルを簡単・迅速に利用可能に

NVIDIA NIMは、事前にトレーニングされた最適化済みモデルをマイクロサービスとして提供することができます。そしてDataRobotとNVIDIA NIMの連携により、お客様は多様な特化型の最先端AIモデルをDataRobotプラットフォーム上で手軽に利用できるようになります。これにより、これまでアクセスが難しかった専門性の高いモデルも、お客様のビジネス課題解決にすぐに活用できます。

利用可能なモデルの例:

  • 日本語に特化したテキスト生成(チャット)モデル: 顧客対応の自動化や社内文書の作成効率化に貢献するAIエージェントの基盤となります。
  • 画像からテキスト生成モデル: 製造業での不良品検知レポートの自動作成や、製品説明文の自動生成など、様々なAIエージェントの機能拡張に活用できます。
  • ルート最適化モデル: 物流・流通業界における配送効率の向上や燃料費削減を実現するAIエージェントに組み込むことができます。
  • タンパク質構造設計モデル: 製薬業界における新薬開発の期間短縮やコスト削減に寄与するAIエージェントの構築に活用できます。

業界別!特化型生成AIモデル活用による具体的なビジネスインパクト

では、本連携がどのようなビジネス価値を各業界のお客様にもたらすのか、今後提供予定のものも含めて具体的にみていきましょう。

製造業界:
  • 安全監視システムのインテリジェント化:画像からテキスト生成モデルを活用することで、工場や建設現場の監視カメラ映像から危険な状況や不審な動きを自動検知し、レポートにまとめることで、作業員の安全確保を支援します。
  • 製品検査レポート作成の自動化:動画からテキスト生成モデルを活用することで、製造ラインで撮影された動画から自動で不良箇所の詳細なレポートを作成したり、製品仕様書やマニュアルの作成を効率化したりすることが可能です。これにより、品質管理の精度向上と業務効率化を実現します。
小売・流通業界:
  • 配送ルートの最適化:ルート最適化モデルを活用することで、配送ルートの最適化をリアルタイムで行い、燃料費の削減、配送時間の短縮、ドライバーの負担軽減など、物流コストと効率に大きな改善をもたらします。
  • 超パーソナライズされた接客・レコメンド:画像からテキスト生成モデルを活用することで、商品画像よりテキスト情報を抽出し商品データを補強します。予測AIによるレコメンドシステムと組み合わせて利用することにより、個々の顧客に最適化された商品を推薦します。これによりECサイトのコンバージョン率向上や店舗でのクロスセル・アップセルを促進します。
  • コールセンターのオペレーター支援:音声からテキスト生成モデルを活用することで、コールセンターにおける顧客との会話履歴からテキスト情報を抽出し、予測AIモデルによりトピックをクラスタリングしたり、対応策をレコメンドすることでオペレーター業務を支援し、顧客満足度を高めます。
製薬業界:
  • 新薬開発における化合物スクリーニングの加速:分子構造生成モデルを活用することで、リード化合物に類似する化合物の構造生成を自動化し、新しい化合物の設計を担当するケミストに提案を行います。また、予測AIモデルによるADMET予測結果と組み合わせることにより、新薬候補となり得るリード化合物の構造最適化プロセスを加速し、研究開発期間を大幅に短縮できます。
  • 創薬のためのドラッグデザイン基盤提供:タンパク質構造設計モデルを活用することで、迅速かつ高精度にタンパク質の構造を生成し、例えば抗体医薬品の開発過程において、抗原-抗体複合体構造の予測と解析に利用します。

迅速かつ簡単に最先端生成AIモデルの利用を開始

通常、生成AIモデルをデプロイし、本番環境で運用するには、複雑なインフラ構築、GPUリソースの確保、モデルの最適化、継続的なメンテナンスなど、多大な時間と専門知識、そしてコストが必要です。特に、多様なモデルを試したり、特定のビジネスニーズに合わせてカスタマイズしたりする際には、これらの障壁がさらに高まります。

obata

DataRobotとNVIDIA NIMの連携により、生成AIモデルの導入プロセスは劇的に簡素化されます。NVIDIA NIMはコンテナ化されたマイクロサービスとして提供されるため、複雑な環境構築は不要です。DataRobotのGPUインフラ上で、必要なNIMコンテナをすぐに起動することで迅速に生成AIモデルの活用を開始し、その上にAIエージェントを構築できます。これにより、お客様はインフラ構築やモデルデプロイに時間を費やすことなく、すぐにビジネス価値創出に集中できます。次の画像は、分子構造生成モデル genmol を起動する際の例です。

スクリーンショット 2025 07 10 10.25.00

連携のしくみ:DataRobotは、NVIDIAのGPU最適化ソフトウェアハブであるNVIDIA NGCからNIMコンテナをシームレスに入手します。この作業はDataRobotのGUI上から行うことができ、パフォーマンスとコストを最適化できるGPUのサイズに関する推奨も得ることができます。これらのコンテナは、DataRobotのGPUサーバー上で直接、またはお客様の既存のオンプレミスGPUインフラ上で、高性能な推論環境として迅速に起動されます。この連携により、モデルのデプロイと管理が大幅に簡素化され、お客様は生成AIの力を最大限に活用できます。

スクリーンショット 2025 07 16 11.33.23

費用対効果の高い生成AIモデル導入

DataRobotとNVIDIA NIMとの連携は、費用対効果の高いソリューションでもあります。これは、前述の生成AI導入プロセスの簡素化が、運用にかかる時間と労力を削減し、結果としてオペレーションコストの削減に直結するためです。

また、DataRobotのマネージドサービス(SaaS)で利用可能な生成AIオプションではNVIDIA NIM連携を従量課金ベースで利用することが可能です。DataRobotで稼働するNVIDIA NIMコンテナは、GUIやAPIを通じていつでも簡単に起動・停止することができ、自動化運用に組み込むことも容易です。これにより、お客様は初期投資を抑えつつ、必要な時に必要な分だけリソースを利用できるため、柔軟なコスト管理と効率的な運用を実現できます。NVIDIA NIMは最適化されたモデルを提供するため、少ない計算資源で高いパフォーマンスを発揮し、DataRobotの既存インフラを活用することで、新たな大規模なインフラ投資を抑えつつ、生成AIの恩恵を最大限に享受できます。

まとめ:NVIDIA NIMとDataRobotでAIエージェントの未来を切り拓く

DataRobotとNVIDIA NIMの連携は、お客様が最先端の生成AIモデルを迅速かつ費用対効果高く活用し、ビジネス課題を解決するための強力なソリューションを提供します。日本語対応のテキスト生成から、製薬、製造、流通といった各業界に特化したモデルまで、DataRobotはNVIDIA NIMと共に、お客様の生成AI活用を次のレベルへと引き上げます。

この新しい連携が、お客様のビジネスにどのような変革をもたらすか、具体的なご要望や課題について、ぜひDataRobotの担当者にご相談ください。お客様のビジネス成長を加速させる最適な生成AIソリューションを共に検討させていただきます。

Realize Value from AI, Fast.
Get Started Today.