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藤井 北斗 氏

ヤマハ発動機株式会社 デジタル戦略部 データ分析グループ データサイエンティスト
感動創造企業であるヤマハ発動機は、データを活用した顧客体験向上を目指しています。既存事業を強くするための DX として、スマートオペレーション、コネクテッド、デジタルマーケティング、データ分析を重点活動として推進しており、経営戦略の意思決定から製造業務、マーケティングまで幅広く AI を活用しています。DX 推進の仕組みを社内に構築し、デジタル活用の実績が評価され、2020年、2021年には経済産業省が選ぶ「DX 銘柄」に選定されています。業務でのAI 活用が進んだのは、社内の AI 教育を整備し、市民データサイエンティスト育成に取り組んだ成果です。ヤマハ発動機の AI ヒーローである藤井氏は、自らがデータサイエンティストとして活躍しながら、プロジェクトリーダーとして社員がデータを当たり前に使いこなすことを目指して、育成プログラムを構築し、実業務での AI 活用を促進しています。

AI ヒーローとしてのインパクト

データ分析を定着させるには、データサイエンティストと事業部の担当者がコミュニケーションしながら、ビジネスへの活用を進める必要があります。藤井氏はヤマハ発動機における AI 活用の民主化のために、当初からAIによるビジネス効果を出すところまでを目標としていました。そのため、育成プログラムを構築するだけでなく、その成果を定量的に把握するフレーム化までを実現し、ビジネス成果の創出を継続して観測・評価しています。現在では、すでに多くの事業部門での AI 適用や自走化が進んでおり、経営陣の使う経営ダッシュボードにも AI の売上予測を表示するなど、意思決定にも貢献しています。
741人が参加した育成プログラムを構築
AI 活用について、データサイエンティストとも議論ができる社員を増やすため、入門から技術取得、OJT までの段階分けした育成プログラムを構築した。
OJT を通して実業務での AI 適用を推進
80以上のデータ分析プロジェクトが稼働中。さらに育成プログラムの一環として、データ分析グループのメンバーと共にAIの業務適用を進める OJT プログラムを展開。すでに9つの実務プロジェクトで成果が出ている。
経営ダッシュボードに AI による売上予測を表示
経営基盤革新の取り組みとして、経営ダッシュボードを構築。そのダッシュボード内に、AI による売上予測を追加し、経営陣の経営判断の材料として活用している。

データ分析の民主化のために、教育プログラム構築に注力

2009年に研究開発部門に配属され、AI を使った自動運転や自動配車システムなどに注力していた藤井氏。2019年にデジタル戦略部に異動になり、ヤマハ発動機の DX 推進に取り組むことになりました。同部では、データ活用をして顧客にとってより魅力的な企業になることをミッションに活動しています。ミッション達成にはデータ分析の民主化が不可欠で、藤井氏はそのための教育活動に取り組んでいます。

同部門では、モデル生成の作業効率化、モデル精度の向上によるビジネス寄与を高めること、そして人材育成を目的に2019年に DataRobot を導入しました。当初はアカウントは2つで、そのうちの1つが藤井氏に割り当てられました。藤井氏は、DataRobot の活用方法を模索しつつ、同時に研修プログラムの構築も始めました。

2018年からデータサイエンティスト育成のための集合研修を実施していましたが、2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ウェビナーによる研修に切り替えました。レベル別に異なるプログラムを用意し、1年で知識から技術取得、OJT までカバーする構成にしています。

プログラム内容はほぼ内製しており、ヤマハの事業課題に合わせて取り組めるようにしています。中でも OJT は、受講者がデータ分析グループと共に、業務データを使って業務課題の解決に取り組みながら、AI 活用を体得するプログラムで、座学と実務のギャップを埋める目的で実施しています。こうした一連の教育コンテンツは、藤井氏を中心にチームメンバーとともに作成しています。グローバルのメンバーや若手社員も講師として登壇しています。

さらに2021年には社内向けイベントとして「Data Analysis Conference 2021」を開催しました。イベントでは社内のAIプロジェクト担当者はもちろん、他企業のデータサイエンティスト、ベンダーも登壇し、様々な成果や事例が共有されました。参加者は630名を超え、イベントをきっかけに社内で AI や機械学習への関心がさらに高まっています。

開発・製造・生産以外の業務でもすでに適用が進み、成果が出始めている事例もあります。一つはインドでのデジタルマーケティングの活用です。顧客のオンライン/オフラインデータを統合して、来店時にその顧客の購入確率を予測します。販売店担当者は、その予測値や行動履歴を見ながら最適なコミュニケーションを行い、接客を「おもてなし」として実施できるようになったことで、販売店への新しい情報提供として期待が大きくなっています。また、WEB サイトの視聴履歴や購買履歴などに合わせてレコメンドを行うなど、パーソナライズ化を実現し、よりお客様のニーズに合わせた提案ができるようになっています。

他にも、製造業務でアルミ鋳造の不良原因の分析をする、船の FRP 積層工程で舷の表面を画像認識して製造不良の検知をする、製品売上予測を経営陣のダッシュボードに表示する、というように様々な業務での活用が進んでいます。

データ分析の民主化には、機械学習や統計の知識があるデータサイエンティストだけでなく、彼らと対等にコミュニケーションできる市民データサイエンティストを増やす必要があります。データ分析グループは、CoE(Center of Excellence)組織として、人材育成や事業部の運用を支援する役割を担います。AIのモデル開発やデータ分析にとどまらず、ビジネスへの実装を最終ゴールに、それを実現できるように環境を整えています。 本年度は「AI テーマ創出ワークショップ」を企画しており、業務課題を洗い出して AI のテーマを選抜し、3−4ヶ月かけてビジネス実装まですることを目指しています。社内の成功事例を増やすことを2022年の目標にしており、より定量的なビジネス価値の算出も目指していきます。
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藤井 北斗 氏

ヤマハ発動機株式会社 デジタル戦略部 データ分析グループ データサイエンティスト

役に立つリンク
  • DataRobot のプラットフォームのおかげで仕事がうまく進んでいます。結果の精度も上がり、しかもタイムリーです。まるで魔法のようです
    Omair Tariq
    Omair Tariq

    Data Analyst, Symphony Post Acute Network

  • 弊社は、この業界で主体的に動く必要があると考えています。具体的には、顧客のニーズを理解する予測モデルを構築し、キュレーションプロセスを通して顧客のコンシェルジュになるべきだと考えています。
    Oliver Rees 氏
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    General Manager – Torque Data at Virgin Australia

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    Akshay Tandon 氏
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    LendingTree 社、戦略分析担当副社長

  • モデリングに必要なデータサイエンスと手間のかかる作業を任せられるのは、DataRobot の技術の本質的な特長です。DataRobot を導入する前、モデリングプロセスには多くの手作業が必要でした。今のプラットフォームでは、そのステップの多くを最適化および自動化しながらも、自在に制御することができています。DataRobot を導入していなかったら、今と同じ成果を得るためには常勤のスタッフを 2 名増やす必要があったでしょう。
    Evariant

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